Skip to main content
新会員紹介:クラレザ・パートナーズ 馬場一士氏 ― 日本に柔軟なリーダーシップ人材活用をもたらす
ニュース | Features

新会員紹介:クラレザ・パートナーズ 馬場一士氏 ― 日本に柔軟なリーダーシップ人材活用をもたらす

08 June 2026 | Written by administrator

新会員紹介:クラレザ・パートナーズ 馬場一士氏

― 日本に柔軟なリーダーシップ人材活用をもたらす

文・写真:エリック・オーガスティン・パーム

有名な両国国技館からほど近い第一ホテル両国で昼食をとりながら、馬場一士氏は、自身のキャリアを振り返る。それは異なる文化、企業、そして考え方の間を行き来する中で形づくられてきた歩みであった。家族とともにこの近隣に暮らす馬場氏にとって、両国はまさに地元である。自身のルーツ、変化、そして日本で新たな価値を築くことについて語るには、これ以上ないほどふさわしい場所だ。

馬場一士氏は、東京を拠点とするクラレザ・パートナーズの創業者兼CEOである。同社は、企業が正社員採用という枠を超え、経験豊富な経営人材を活用できるよう支援している。主力事業は「インテリムマネジメント(暫定経営人材サービス)」であり、一定期間にわたってシニアレベルのプロフェッショナルを企業へ派遣し、重要な経営・管理職の役割を担ってもらうサービスだ。この仕組みは北欧を含む欧州では広く普及している一方、日本ではまだ比較的新しい。馬場氏は、そのギャップの中に課題と機会の両方を見出している。

その背景を理解するには、彼自身の歩みを知る必要がある。馬場氏は6歳から12歳まで、父親の海外赴任に伴い米国ニュージャージー州で暮らした。この経験は、英語力だけでなく、価値観や物事の見方にも大きな影響を与えた。

「影響を受けたのは言語だけではありませんでした。考え方や働き方など、あらゆる面が日本の伝統的な文化とは大きく異なっていました」と馬場氏は語る。

馬場氏は、自身のルーツを「よりアメリカ的」だと表現する。それは、自由やオープンさ、柔軟性を重視する価値観を持つようになったからだ。一方で、彼のキャリアは一貫して日本を基盤として築かれてきた。この両方の経験によって、日本企業を内側から理解しながら、同時に海外企業が日本市場をどのように見ているかも理解できる、独自の視点を持つに至った。

キャリアのスタートは伝統的な日本企業だったが、ほどなくして自分にはその企業文化が合わないことに気づいた。その後、外資系企業へ転じ、約10年間コンサルタントとして活動し、最終的にはコンサルティング事業の責任者を務めた。その後、人材サービス企業の日本法人代表に就任し、事業再建を成功へ導いた。

これまでのキャリアを通じて、馬場氏は組織改革や業績向上、さらにはグローバル企業の日本市場での成長支援に携わってきた。その仕事は売上や利益の向上だけでなく、顧客満足度、サービス品質、従業員エンゲージメントの向上にも及んでいる。人と組織の双方が持つ可能性を最大限に引き出すことが、自身の原動力だと語る。

日本法人代表として4年間を過ごし、事業が安定し再び成長軌道に乗った頃、彼は次のステップについて考え始めた。

「また同じ場所に戻りたいとは思いませんでした。コンサルティングに戻るとか、同じような形で別の事業を経営するとかではなく、『次は何をしようか』と考えたとき、自分で会社を立ち上げてみようと思ったのです。」

クラレザ・パートナーズの構想は、二つの経験から生まれた。コンサルタント時代、顧客企業が上級管理職の突然の退職によって苦労する場面を数多く目にした。ある企業では人事部長が退職することになり、後任が決まるまでの間、その役割を担う人材が必要だった。期間限定でコンサルタントを配置したところ、その仕組みは双方にとって大きな成果をもたらした。

その後、人材サービスや再就職支援事業に携わる中で、シニアエグゼクティブたちがより柔軟な働き方に関心を持っていることにも気づいた。誰もが次のキャリアとして正社員のポジションを望んでいるわけではなく、契約ベースで意義のある仕事に取り組みたいと考える人もいた。

こうした「企業側のニーズ」と「経営人材側の志向」という二つの気づきから、クラレザ・パートナーズは誕生した。

企業が必要とする時に、必要な形で人材を

インテリムマネジメントを簡単に説明すると、高度な専門性を持つ人材を一定期間だけ経営ポジションに迎えることを意味する。期間は6か月の場合もあれば、事業再建のため、特定プロジェクトのため、あるいは正社員採用が決まるまでの橋渡しとして活用される場合もある。

「一定期間、企業の経営ポジションを担うことです」と馬場氏は説明する。

対象となる職種は幅広い。クラレザ・パートナーズは、財務、経営全般、人事、マーケティングなど多様な領域でサービスを提供している。製造業、とりわけ自動車関連企業も重要な顧客層だが、この仕組みは特定の業界に限定されるものではない。

クラレザ・パートナーズの根底にあるのは、「人材こそ企業競争力の源泉である」という信念だ。日本企業は伝統的に、正社員中心の雇用と長期的な社内育成に大きく依存してきた。馬場氏はその価値を否定するわけではない。しかし、変化の激しい現代のビジネス環境においては、それだけでは十分ではないと考えている。

企業には、社内に蓄積された知識と外部の専門性を組み合わせる力がますます求められている。必要な人材が必ずしも正社員である必要はない。特定の経験を持つシニアプロフェッショナルが一定期間だけ組織に入り、課題を解決し、変革を支援し、組織をより強くして去っていく方が適切な場合もある。

これは特に日本において重要な意味を持つ。英語力を備えたシニア人材は限られており、採用コストも高い。そのため、日本で事業を展開するグローバル企業にとって、インテリムマネジメントは、正社員採用を何か月も待つことなく、緊急のリーダーシップ不足を補う柔軟かつ費用対効果の高い選択肢となる。

クラレザ・パートナーズの顧客の約90%は、日本で事業を展開する多国籍企業である。これは、外資系企業の方がインテリムマネジメントという概念に馴染みがあり、雇用やリーダーシップに対してより柔軟な考え方を持っているためだという。

一方、日本企業は依然として慎重だ。

「文化的な背景として、長期的なコミットメントを重視する傾向があります。正社員雇用や終身雇用はいまだに標準的な考え方です。」

多くの日本企業にとって、外部人材を正社員ではなく、一時的な役員やシニアマネージャーとして迎えるという発想はまだ馴染みが薄い。プロジェクトベースで専門家を活用することには比較的前向きでも、経営責任を担うポジションにインテリム人材を起用することには慎重な企業が多いという。

それでも馬場氏は、その必要性は明らかだと考えている。多くの日本企業では、長年同じ組織で育った似たような経歴を持つ人材によってチームが構成されている。その安定性は強みである一方、新しいスキルや外部経験、新鮮な視点を取り込むことを難しくする場合もある。

「企業は外部の人材を取り入れる必要があると気づき始めています。しかし多くの場合、それでも正社員として採用しようとします。けれど、そのスキルが10年、20年必要とは限りません。1年間だけ必要で、その後は別のスキルが求められるかもしれないのです。」

馬場氏にとって、インテリムマネジメントは日本の雇用慣行を置き換えるものではない。むしろ、そこに柔軟性を加えるための仕組みである。企業は長期的に働く中核人材を維持しながら、必要に応じて外部人材を正社員として採用し、さらに特定の課題や期間に応じてインテリムマネージャーを活用することができる。

「そこには非常に大きなメリットがあります。」

人材紹介のその先へ

クラレザ・パートナーズの役割は、インテリムマネージャーを企業へ紹介した時点で終わるわけではない。馬場氏は、この継続的なサポートこそが、インテリムマネジメントとエグゼクティブサーチの大きな違いだと考えている。

エグゼクティブサーチでは、候補者が採用された時点で業務はほぼ完了する。一方、インテリムマネジメントでは、実際の任務期間を通じた支援が欠かせない。

「私たちは仲介役のような存在です。問題やその兆候があった場合に介在するために存在しています。双方と対話し、問題が大きなトラブルへ発展しないようにするのです。」

クラレザ・パートナーズでは、インテリムマネージャー向けにエグゼクティブコーチングも提供している。馬場氏はこれを重要なサービスだと考えている。インテリム人材は、組織の正社員ではない立場でありながら、チームマネジメントや本社への報告、社内課題への対応など、繊細な状況に置かれることが多いからだ。

「こうした方々にとって、クライアント企業の内部事情についてすべてを率直に話すのは難しいことがあります。コーチがいれば、課題について相談しながら解決策を探ることができます。」

これは馬場氏の事業観を象徴している。単に人材とポジションを結びつけるだけでなく、企業とインテリムマネージャーの双方が成功できるよう支援することが重要だという考え方だ。クラレザ・パートナーズは、インテリムマネジメント、エグゼクティブコーチング、そして今後さらに強化していくエグゼクティブサーチを通じて、社内人材と外部人材がより効果的に協働できる環境づくりを目指している。

日本を内と外の両方から見る視点

馬場一士氏の強みの一つは、日本のビジネス環境の実情を海外企業にわかりやすく伝えられることにある。日本で15〜20年にわたり外資系企業に勤務してきた経験から、なぜ日本が特別なのか、そして表面的な理解だけでは不十分なのかを説明する機会が数多くあったという。

多くのグローバル企業の経営者は、さまざまな国で働いた経験を持ち、日本もまた「地域ごとの違いがある市場の一つ」に過ぎないと考えがちだ。しかし実際には、日本市場ではより深い適応が求められることが少なくない。

「国によって違うことは理解していると言われます。しかし、日本はまったく異なるのです」と馬場氏は語る。

その一例として、海外本社の幹部が「なぜ日本チームは大手日本企業のCEOにLinkedInで直接連絡しないのか」と尋ねることがあるという。多くの市場では、そのようなアプローチが有効な場合もある。しかし日本では、通常そのようには機能しないと馬場氏は説明する。

日本市場に関心を持つスウェーデンや北欧企業にとって、これは重要な教訓である。日本は依然として、大きな人口を抱えた主要経済国であり、成熟した市場として魅力を持ち続けている。しかし成功するためには、熱意や優れた製品だけでは足りない。グローバルな期待と日本の現実、その両方を理解する人材が必要なのだ。

「本当に必要なのは、日本市場を理解している人です。表面的な理解ではなく」と馬場氏は強調する。

ここでインテリムマネジメントも重要な役割を果たす。日本へ新規参入する企業や事業拡大を進める企業は、どのような恒久的なリーダーシップ体制が必要なのかをすぐには判断できない場合がある。経験豊富なインテリムエグゼクティブであれば、その不確実性を埋め、移行期を支援し、適切なタイミングで市場知識を組織にもたらすことができる。

北欧とのつながり

クラレザ・パートナーズは、フランスに本部を置くインテリムマネジメント企業のグローバルネットワーク「Valtus(ヴァルタス)」を通じて、国際的なインテリムマネジメントコミュニティともつながっている。クラレザ・パートナーズは日本代表パートナーを務め、北欧地域はNordic Interimが同じネットワークの一員として代表している。

このネットワークを通じて、馬場氏はすでに北欧の同業者との関係構築を始めている。Nordic Interimの関係者の一人はかつて日本に住んでいた経験があり、北欧地域の人脈を紹介してくれたという。

また馬場氏は、スウェーデンと日本の間には興味深い文化的共通点があると考えている。特にリーダーシップスタイルにおいてその傾向が見られる。一般的には日本の方がスウェーデンより階層的な組織文化を持つが、両国ともトップダウン型の意思決定だけではなく、合意形成やコミュニケーションを重視する傾向があるという。

馬場氏の経験では、多くの企業は単に指示を出すだけの強圧的なリーダーを求めているわけではない。本社と円滑にコミュニケーションを取り、現地チームを理解し、異文化の間で信頼関係を築ける人材を求めている。

「本社とも、現場のメンバーともコミュニケーションが取れる人材を求めているのです」と馬場氏は語る。

こうした背景から、スウェーデンおよび北欧のビジネスコミュニティは、クラレザ・パートナーズがネットワークを広げる上で非常に自然な場となっている。すでに北欧地域の顧客も存在し、その中には日本で事業を展開するスウェーデン企業で、同社のインテリムマネジメントサービスを利用している企業も含まれている。

SCCJ(在日スウェーデン商工会議所)への入会を通じて、馬場氏はこうしたつながりをさらに広げていきたいと考えている。

SCCJへの入会

馬場氏にとって、在日スウェーデン商工会議所(SCCJ)への入会は、ネットワーキングの機会であると同時に学びの機会でもある。

「私たちの事業は、人と人、人と企業をつなぐことです。知り合う人が増えれば増えるほど、それは事業にとってプラスになります。」

同時に、SCCJのネットワークを活用し、日本に進出しているスウェーデン企業や北欧企業に対して、インテリムマネジメントという選択肢の認知を高めたいとも考えている。

ヨーロッパではすでに広く知られている概念であっても、日本国内でそのサービスを提供する企業が存在することまでは知られていない場合がある。

「インテリムマネジメントという概念自体は知っていても、日本で実際に活用できることまでは知らないかもしれません。」

馬場氏は、SCCJのイベントに参加し、新しい人々と出会い、新たな視点を得ることを楽しみにしている。1年後には、この会員資格を通じてクラレザ・パートナーズが新たな関係を築き、北欧顧客基盤を拡大し、スウェーデンと日本のビジネスコミュニティへ新しい価値を提供できていることを期待している。

「新しい人との出会いは、新しい視点をもたらしてくれます。それが事業だけでなく、さまざまな面で自分を成長させてくれるのです。」

インテリムマネジメントという職業の発展に向けて

馬場氏はクラレザ・パートナーズの経営に加え、日本におけるインテリムマネジメントの発展を支援する非営利団体「インテリムマネジメント協会(Interim Management Association of Japan)」にも関わっている。同協会では理事として活動している。

クラレザ・パートナーズが企業向けサービスを提供する一方で、同協会はインテリムマネージャー自身を支援することに重点を置いている。

馬場氏によれば、日本ではまだこの働き方が新しいため、シニアレベルで独立して働きたいと考える人々が、情報交換や学び合いを行い、この働き方を理解するためのコミュニティを見つけにくい状況があるという。

「この分野でフリーランスとして働く方法そのものを、よく知らない人も多いのです。」

協会は、こうした柔軟な働き方を望む人々のためのコミュニティづくりを進めるとともに、企業に対してもインテリムマネジメントの価値を広めることを目指している。

これは馬場氏のより大きな使命感を示している。単に自社を成長させるだけでなく、日本に新しい市場そのものを創り出そうとしているのである。

創業から4年目を迎えたクラレザ・パートナーズは、着実に成長を続けている。馬場氏は今後、新規事業を推進するためのフルタイム人材を採用し、インテリムマネジメントに加えてエグゼクティブサーチ事業も拡充していく計画だ。

多くの顧客企業は、その両方を必要としている。目先の課題に対応するための暫定リーダーと、長期的な成長を担う恒久的な人材の双方である。

馬場氏にとって、この組み合わせこそが日本市場の変化するニーズを象徴している。企業には柔軟性が必要である一方、安定性も求められる。ローカルな知見とグローバルな視点の両方が必要であり、さらにその二つの世界を行き来できるリーダーが求められている。

幼少期を米国で過ごし、日本企業と外資系企業の双方で働き、成長局面や事業再建局面で日本事業を率い、そして自ら会社を創業した馬場氏は、その二つの世界を複数の視点から理解している。

それこそが、クラレザ・パートナーズがインテリムマネジメントを必要とする企業だけでなく、日本をより深く理解しようとする北欧企業にとっても価値ある存在である理由なのかもしれない。

SCCJが新会員としてクラレザ・パートナーズを迎える中で、馬場氏のメッセージは明確だ。

日本は、たとえゆっくりであっても確実に変化している。

そして、リーダーシップ、人材活用、そしてタイミングについて新しい発想を持つ企業にとって、その変化は大きな機会となるのである。